
「非公開物件です!」の裏側
インターネットで検索をすれば誰でも見ることができる物件には、人はあまり価値を感じないものです。
逆に、
『これはなかなか表に出てこない貴重な物件です!』
という風に言われると、何だか良い物件のように感じてしまうのが人間の性です。
そのことは営業マンもわかっていて、色々な手段を使ってお客さんの興味を惹こうとします。
そこで、お客さんの興味を惹くためにどんな営業トークが使われているのか、そしてその言葉の裏には何が隠されているのかを一緒に見ていきましょう。
これは非公開物件です!

「これは一般には出回っていない非公開物件です!」
営業の現場では、この営業トークはよく使われます。
普通に考えると、非公開物件=良い物件と思ってしまいがちですが、実はそんなことはありません。
なぜなら、ワンルームマンション業界の物件は、ほとんどが非公開物件だからです。
どういうことかというと、ワンルームマンション投資業界の営業マンが売る物件というのは、基本的に『会社が仕入れてきた物件』になります。
例えば、マンションオーナーに直接電話をしたり、プロ向けに不動産の仲介を行っている会社から物件を買って仕入れをします。
そうすると、その物件はその会社のものになりますので、情報はオープンになりません。
これで『非公開物件』のでき上がりです。
この流れを理解すると、『非公開物件』というのは『まだ情報が公開されていない希少価値のある物件』ではなく『その会社が売ることができる物件』であることがわかります。
なので、非公開物件と言われて紹介されても、それが良い物件であるかどうかは別問題になります。
ついにお宝物件が出ました

「お宝物件がでました!」
というのも、よく使われる営業トークです。
一般の人の心理としては、
『出てくる物件の中には稀に良い条件の物件があって、それを見つけることができれば大きな利益を得ることができる!』
と考えている人がほとんどです。
そして、その心理を営業マンはわかっているので、
「ついに、お宝物件が出てきましたよ!」
という紹介をする場合があるのです。
しかし・・・
お宝物件というのは本当に存在するのでしょうか?
私の経験から言わせてもらうと、残念ながら営業マン経由で一般のお客さんにお宝物件の情報が回ってくることはありません。
なぜなら、本当のお宝物件というのは業者同士で売買されるからです。
その理由は2つあります。
1つは、決済までのスピードが早いことです。
一般のお客さんと比べて、業者は決断のスピードが早いです。そして、勝手がわかっているので売買の手続きがスムーズに進みます。
不動産業界というのは物件をいかに早く回すかで業績が決まってきますので、そういった理由から情報を業者に流す方が有利なのです。
そして、もう1つの理由は業者に流した方が利益が増えるからです。
一般の人に売ろうと思うと、その物件を不動産業界のデータベースに登録して、別の仲介業者に買い手を見つけてもらうというのが一般的になります。

そうなると、その別の仲介業者が買い手から仲介手数料を受け取ることになります。

一方で、業者に情報を流すと、良い物件であれば簡単に買い手が見つかります。
不動産業界のデータベースに登録をして、買い手を別の不動産会社に見つけてもらう必要はありません。
その結果、買い手の不動産業者からも仲介手数料をもらうことができるのです。

より早くて簡単で、より儲かる方法があるのなら、そちらを選びますよね?
こういった事情もあって、お宝物件が一般の人に公開される可能性は極めて低いのです。
なので、営業マンがお宝物件と言った場合は
『その物件をよく見せる為に言っているだけ』
と考えて間違いありません。
限られた人だけに紹介している特別な物件です

もしあなたが既にワンルームマンションを購入していたら、その会社の営業マンから
「買ってもらった人だけに紹介している特別なご紹介物件です!」
という営業を受ける可能性があります。
このフレーズを聞くと、
「得意客にだけ条件の良い物件を紹介しているのかな?」
と感じて物件が魅力的に映ってしまうかもしれません。
しかし、このフレーズが出てくる裏の事情を知ると、その考えは変わるはずです。
どういうことか、説明しましょう。
ワンルームマンション投資会社が売るための物件を仕入れた時、まず最初に誰に営業をかけると思いますか?
正解は、
『一度物件を買ってくれたお客さん』
です。
なぜなら、もう既に営業マンとの信頼関係ができていますし、一度購入したことによって心理的なハードルがかなり低くなっているからです。
新規のお客さんを1から開拓するよりも、こちらの方がはるかに効率的なのです。
そこで、新しい物件が出てきた時に、
「一度買ってくれた人にだけ公開をしている特別な物件です」
という形で特別感を出しながら既存のお客さんにアプローチをしていくのです。
そうすれば、効率的に物件を売ることができます。
これが、裏の事情です。
つまり、特別な物件だから紹介しているという訳ではなく、
『その方が効率的だから』
というのが実際の所です。
なので、このような特別感を出してくる営業には気をつけて下さい。